Ruby 1.9.3 リファレンスマニュアル > ライブラリ一覧 > dl/importライブラリ

library dl/import

要約

dl ライブラリのための高レベルインターフェースを提供するライブラリです。

通常は dl ライブラリを使わずこの dl/import ライブラリを使います。

主な使い方は dl も参照してください。

高度な使用法

○○の配列を関数に渡したい

例えば与えられた長さ len の double の配列の和を計算する関数

double sum(double *arry, int len);

があったとします。これを呼び出したい場合は以下のように Array#pack を使用します。

require 'dl/import'
module M
  extend DL::Importer
  dlload './libsum.so'
  extern 'double sum(double*, int)'
end
p M.sum([2.0, 3.0, 4.0].pack('d*'), 3)   #=> 9.0

また与えられた文字列の配列 s (長さlen)の各要素の最初の文字を buf にコピーする関数

void first_char(char **s, char *buf, int len)

があったとします。これを呼び出すにも以下のように Array#pack を使用します。

require 'dl/import'
module M
  extend DL::Importer
  dlload './libstrfirst.so'
  extern 'void first_char(char **, char *, int)'
end
buf = '111'
M.first_char(['Abc', 'Def', 'Ghi'].pack('p*'), buf, 3)
p buf  #=> 'ADG'

Ruby のオブジェクトをコールバックに渡したい

任意のクラスの Ruby オブジェクトをコールバックへ渡したい場合は DL.#dlwrap を使って ポインタ(整数)へ変換してから関数に渡し、コールバックの方で元に戻します。

例えば libc の qsort を使って Ruby の Time の配列をソートするには以下のようにします。

require 'dl/import'
module M
  extend DL::Importer
  dlload "libc.so.6"
  QsortCallback = bind("void *qsort_callback(void*, void*)"){|a, b|
    a0 = DL.dlunwrap(a.ptr.to_i)
    b0 = DL.dlunwrap(b.ptr.to_i)
    a0 <=> b0
  }
  extern 'void qsort(void *, int, int, void *)'
end

buff =  [Time.at(1), Time.now, Time.at(100), Time.at(10)]
a = buff.map{|t| DL.dlwrap(t)}.pack('l!*')
M.qsort(a, buff.size, DL::SIZEOF_VOIDP, M::QsortCallback)
p a.unpack('l!*').map{|t| DL.dlunwrap(t).to_i }             #=> [1, 10, 100, 1241603848]

複雑な構造体を定義したい

構造体をメンバとして持つ構造体を DL::Importer#struct を使って定義することは残念ながらできません。 自力でメンバを展開してから DL::Importer#struct を使ってください。

クラス

DL::CStruct

C の構造体を表すクラスです。

DL::CUnion

C の共用体を表すクラスです。

DL::Function

Cの関数ポインタを表すクラスです。

モジュール

DL::Importer

C の関数をモジュールにインポートするためのモジュールです。

同時にrequireされるライブラリ

dl

*.dllや*.soなど、ダイナミックリンクライブラリを扱うためのライブラリです。